すずな司法書士行政書士事務所

やわらか対応、きっちり仕事
しっかり聞きます、あなたの話
頼れる「法律の町医者」を目指して

すずな司法書士行政書士事務所
北海道北広島市西の里北4丁目6番地5
TEL 011-555-7717  FAX 011-351-5590

Q 自己破産すると離婚の慰謝料は免責になるのですか?

■基本的に免責になります

離婚の慰謝料というと真っ先に思い浮かぶのは、いわゆる不倫(法律的には「不貞行為」と言います)が原因で離婚に至ったことへの慰謝料です。
この点、法律や判例は考え方では、積極的に相手を傷つけてやろう、というレベルの悪意を持って行った行為でなければ免責する、とされています(破産法253条1項2号、東京地裁平成15年7月31日)。
不倫された側からすると納得いかないとは思いますが、一応こういう風になっています。

■DVでの身体への損害賠償義務は非免責

一方、不倫のように心ではなく、DVのように体に傷を負わせるような行為への損害賠償義務
これは免責の対象になりません(破産法253条1項3号)。

大まかにはこのようになっているのですが、あくまでもケースバイケースの判断です。
もし元夫・元妻が破産して未払の慰謝料を免責したいと言っているのが納得行かない場合には、裁判所に異議申立をすることも可能です(破産法251条。免責についての意見申述)。

■養育費は非免責

しばしば混同されますが、慰謝料と養育費は違います。

慰謝料は元夫・元妻に離婚したことによる心の傷を補うため払うもの。

養育費は子どものために払うものです(支払先が元夫・元妻になっていても)。

親に対する未成年の養育費請求権は、子の福祉のため非常に強く保護されています。

したがって破産しても養育費は免責されません

Q 自己破産すると給与差押されるのですか?

■そのようなことはありません。ただし注意が1点

破産によって給与差押されることはありません

ただし気をつけていただきたいのは、破産申立前だと、給与給料されるおそれがある、ということです。

例えば返済が滞ったまま、破産申立準備にあまりにも時間がかかっているとします。

するとしびれを切らせた債権者から、訴訟を起こされるおそれがあります。
消費者金融等、いわゆるプロの金貸しが訴訟を起こしてきた場合、契約書等の証拠がきちんと残っていますので、ほぼ確実に借りた側の負けとなります。
勝訴判決を取った債権者は、給与差押等の強制執行が可能になってしまいます。

■申立準備には全面的に協力を

こうした事態を避けるため、破産すると決めたら弁護士や司法書士に依頼し、迅速に進めましょう。
申立には、依頼者から様々な書類や情報を提供してもらう必要があります。
弁護士、司法書士に全面的に協力をお願いします。

Q 自己破産するとスマホが契約できなくなるのですか?

■新規購入自体は可能だが、分割払いにはできない可能性

これも嘘です。
今やスマホは生活や仕事に不可欠ですので、新規購入自体は可能です。
ただし2点注意です。

1.分割払いはできないかも

新規契約自体はできますが、本体の分割払いをする際には、携帯会社の審査があります。

過去に本体代や通信費を滞納している履歴があれば、その審査に通らない可能性が高いです。
したがって本体はお金を貯めて一括購入するか、本体代無料の携帯会社を探すことになります。
あまり高価な機種は買えなくなるかもしれません。

2.通信料滞納だと強制解約

これは破産の前後関係ない話です。

今使っているスマホの通信料を滞納すると、当然強制解約されてしまう、ということです。

また本体代の分割払い終わっていない時点で債務整理に入ると、本体を引き上げされ、未払い債務に充当されます。
スマホ代すら払えない状態になっているなら、破産を含めて債務整理を検討してください。

Q 自己破産すると海外旅行に行けなくなるのですか?

■嘘。ただし破産管財人ありの手続中半年は裁判所の許可必要

これもです。
ただし注意が必要なのは、次の場合です。

① 破産申立して、手続が終了するまでの半年前後
破産管財人をつく手続になった場合

この間に海外に行ったり引っ越しをする場合には、裁判所の許可が必要となります(破産法第37条第1項)。
「許可が必要」なのであって、「行けなくなる」わけではない、という点にご注意ください。
ちなみに破産管財人がつくのは、破産申立のうち、およそ3割程度です。

また破産状態ですとクレジットカードが使えませんので、旅行先での買い物や、渡航前のESTA申請(電子渡航認証システム)などは不便になるかもしれません。

いずれにしても、破産しただけで永遠に海外旅行ができなくなるというのは全くの誤解です。

「破産するほどお金のない人が海外旅行?」

と思う方もいるかもしれません。

が、私が過去に受けた相談では、「勤め先の会社の社員旅行で海外に行くことになったが、問題ないですか?」というものがありました。

Q 自己破産すると選挙権がなくなるのですか?

■嘘です

選挙権がないのは、基本的に「刑務所の中にいる人」だけです。
細かく言うと次の通りです(公職選挙法第11条第1項第2~3項)。

以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者

=刑期を終えていない人。仮釈放中の人は刑務所の外にいますが、刑期は終えていないので、選挙権はありません

禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者

=刑の時効が完成した者・大赦・特赦・刑の執行の免除があった者

執行猶予中の人には選挙権があります(公職選挙法第11条第1項第2項カッコ書き)

ただし収賄罪・公職選挙法など政治に関わる罪の場合は、執行猶予中でも選挙権を失います(公職選挙法第252条)

したがって、破産は選挙権がなくなる原因とはなりません

■選挙権は民主主義の根幹

そもそも選挙権は、憲法で保障された権利で、民主主義の根幹ですから、そうおいそれと奪うことはできないんです。
このように破産には色々な誤解が多いので、一人で悩まず弁護士・司法書士までご相談を

Q 自己破産すると会社にバレるのですか?

■そのようなことはありません(ただし一部の例外を除く)

これもよく受ける質問ですが、基本的に嘘です。
ただし次のような場合は例外です。

1. 職場の人や会社から借入をしている場合

この場合は当然、申立する時の債権者一覧に載せなければなりません。

したがって貸した同僚や社長宛てに、裁判所から通知が行くことになります。

 2.警備員など破産中に就けなくなる職種の場合

例えば警備員は法令上、破産開始から復権までの3~6か月の間、いったん警備員を退かなければなりません。

したがって警備会社の中には、官報をチェックしている会社が一部あるそうです。

官報とは国が発行している新聞のようなものです。

破産者の情報もここに掲載されます。

「国の新聞に載るならバレてしまうんじゃないの?!」

と心配されるかもしれませんが、”個人的な趣味”で官報の破産者欄を毎日読んでいるような人はいません。

③ 給与差押をされた場合

これは「破産を申し立てることによって」ではなく、「破産申立準備にあまりにも時間がかかっているために」起こることです。

弁護士・司法書士の介入から長期間、破産申立が行われないと、債権者がしびれを切らして訴訟を起こすことがあります。

このような訴訟は契約書等もそろっているので、99.9%、債権者の勝訴となります。

勝訴判決を取られれば当然、給与差押なども可能となり、勤務先にはバレます

介入から申立の期間が延びる原因のほとんどは、弁護士・司法書士が求める必要書類・情報の提供に依頼者が応じないことです。

ご協力をお願いします。

Q 自己破産すると子どもが進学・就職できなくなるのですか?

■全くのデタラメです

結論としては、まったくのデタラメです。

どこからそんな話になったのか不思議でしようがないのですが、過去の依頼者の中には、そのようなデタラメを信じている方がいらっしゃいました。

あくまでも親の借金は親の借金です。

保証人になったり、相続が発生しなければ、子どもが責任を負うことは一切ありません

■教育ローンは機関保証を利用

このようなデタラメが広がった理由として考えられるのが、教育ローン(いわゆる「奨学金」)の問題です。

お子さんが日本学生支援機構等から学費を借りる際、破産から7年以上経っていないと、親が保証人になれない可能性があります。

いわゆる「ブラックリスト」の問題です(詳しくはこちらのページを参照)。

しかしこの場合も、心配には及びません。
機関保証と言って、保証協会にお金(保証料)を払って保証人になってもらうという方法があるからです。

また就職時の身元保証人について、過去の破産歴まで提出させる会社はまずないでしょう。
したがって子どもの進学・就職を心配して破産をためらう必要は全くありません
詳しくは弁護士・司法書士までご相談ください。

Q 自己破産すると家具家電が全部差押されるのですか?

■差押されません

これもたまに受ける質問ですが、結論は「」です。

そもそも誤解している方が多いのですが、破産というのはお金を借りすぎた人を罰する制度ではありません
むしろ逆で、生活を立て直すきっかけを与えるものです。
それを考えたら、家具家電が全部差押されるなんてありえないと思いませんか?
生活自体ができなくなってしまいますからね(民事執行法第131条第1号)。

■例外は生活必需品とは言えない高級品

ただし例外もあります。

生活必需品とは言えない高級品です。

これらは差押えられるおそれがあります。

もちろん破産の依頼者でそのようなものを持っているケースはほとんどありません。

ですが、買い物依存症などで破産する方の中には、このような高級家具・家電を持っていることがあります。


また一般には高級品だけど、仕事のために必要なものなどは、除外される可能性もあります(自由財産拡張)。
これらはケースバーケースの判断なので、弁護士・司法書士に個別相談をお願いします。

Q 自己破産すると車が取られてしまうのですか?

■自動車ローン残債の有無や査定額により異なります

結論としては「ケースバイケース」という言い方になります。

ポイントは次の2点です

1.自動車ローン残債の有無

2.査定額が20万円以上かどうか

ローンが残っている車と、残っていない車に分けて説明します。

① ローンが残っている車の場合

ローンを返し終わるまで、車の所有権はローン会社にあります(所有権留保)。
したがって破産状態になった時点で、車はローン会社が引き上げ、換価されるのが原則です。

② ローンが残っていない車の場合

買取査定額が20万円以上※の車の場合、破産管財人による換価の対象となります。
※札幌地裁の場合

換価によって得た売却代金は、債権者に分配されます。

 

したがって結論としては、ローンが残っておらず、査定額が20万円未満の車は、ローン会社の引き上げもなく、破産管財人による換価もない、つまり手放さなくて良いということになります。

 

■生活や仕事に車が必要な場合は?

では生活や仕事のためにどうしても車が必要な場合は、どうしたらいいのでしょうか?

これについては、「自由財産拡張」を申し立てることによって、裁判所に申立てて換価を免れるケースもあるようです。

ただし裁判所にその必要性が認められるハードルはだいぶ高いようです。

■家族・知人名義にして換価を逃れるのは×

「破産はしたいけど、車がなくなるのは困る。そうだ、家族や知人に名義にしてしまえば換価を免れるのではないか?」

そう思った方もいるかもしれません。

ですが、これはやってはいけないことです。

なぜなら「債権者を害する行為」(詐害行為)となってしまうからです。

例えばこの車を100万円で売ったとするなら、その100万円を債権者への配当に回すべきです。

またタダであげてしまったとするなら、本来換価できるものを手放して、債権者に損害を与えたことになってしまうからです。

私が過去に受けた依頼者の中にも、誤った法律知識を持った無資格コンサルタントの口車に乗って、車を名義変更してしまった方がいらっしゃいました。

その案件は、破産者自身も無資格者に騙されたような側面があったため、裁判官の裁量で免責となりました。

しかし破産管財人を就けるため、予納金が余計に20万円かかり、手続も1年以上延長になりました。

Q 自己破産するとアパートが借りられなくなるのですか?

■破産してもアパートは借りられます

結論からいうと、そのような法律上の制限は全くありません

住むところは誰でも必要ですので、当然です。

ただし次の点に注意してください。

①不動産業者の営業担当にはその旨を伝える

破産後に賃貸物件を借りる場合、不動産業者の営業担当にその点を初めから伝えておいた方がよいです。

私は元不動産営業なのでわかるのですが、物件によっては家賃保証会社の保証を受けることを条件としているものがあります。

その保証会社がクレジット会社系の場合には、審査が通らないことがあるからです。

この場合はそうでない保証会社や、親族による保証で借りられる物件に限定してご紹介することになります。

②破産中の転居は裁判所の許可が必要

破産開始決定から免責確定までの3~6か月に転居する場合は、裁判所の許可が必要です。

忘れずに伝えてください。

いずれにしても破産したから住むところを失う、ということはありませんので、ご安心を。

Q 自己破産するとマイホームが差押されるのですか?

■マイホームは手放すことになります

①住宅ローンが残っている家と、②残っていない家に分けて説明します。

①ローンが残っている家の場合

住宅ローンを組む時、銀行は抵当権という権利を家に設定します。
抵当権があると、住宅ローンを滞納した時点で、銀行はこの抵当権に基づき、家を競売にかけて、落札代金から残りの債務を回収することができます。

ただし実際には、競売にかけずに任意で売却し、そこから残債を払うよう銀行から勧められるケースが多いです。

なぜなら競売にかけると、通常の売却よりも値段が安くなるのが一般的だからです。

②ローンが残っていない家の場合

査定額が20万円以上※の物を所有している場合、破産管財人による換価の対象となります。

※札幌地裁の場合
不動産が20万円を下回ることはまずありませんから、当然、換価されます

このようにマイホームはほぼ確実に失い、賃貸不動産等に転居することになります。

参照:

Q 自己破産するとアパートが借りられなくなるのですか?

 

■マイホームを残して債務整理するには

住み慣れたマイホームを手放すのはつらいものです。

これを避けるには、破産ではなく任意整理または個人再生という手段を検討することになります。

任意整理は、裁判所を介さず、住宅ローン以外の債務を無理ない分割払いとすること。

個人再生は、地方裁判所に申し立て、住宅ローン以外の債務を圧縮する手続です。

ただしいずれも、計画通り返済できるある程度安定した収入があることが条件となります。

(まれに破産を避けたいために、非現実的な任意整理を希望される方がいらっしゃいますが、当事務所では基本的に受任をお断りしています)

また個人再生の場合、アンダーローン(住宅ローンの残債が不動産の評価額を下回った状態)だとメリットが少ないなど、検討すべき点が多くあります。

弁護士・司法書士に相談して進めることをお勧めします。

Q 債務整理をするとブラックリストに載るのでためらっています。どうしたらいいですか?

■ためらうだけ無駄

よく弁護士・司法書士に債務整理を依頼すると「ブラックリストに載る」などと言われます。
ですがそもそもこの「ブラックリスト」とは一体何なのでしょうか?
実は銀行・消費者金融・カード会社からお金を借りたり、クレジットカードを作った時点で、滞納の有無に関係なく、ご覧のような信用情報機関というところに情報が登録されます(CIC,JICC全銀協)。

ここには住所氏名の他、滞納の情報が載ります。

例:CICの場合 「状況」に「A」と記録されたのが滞納情報

そして弁護士・司法書士が債務整理に介入した場合、保証会社が代わりに返済したり、破産等をした記録が残ります

例:CICの場合 「返済状況」が「異動」と記録された状態がいわゆる「ブラックリスト」

これが俗に「ブラックリストに載った」と言われる状態なのです。

つまり債務整理しようとしまいと、返済が滞れば載るわけなので、それを理由に債務整理をためらう理由はないのです。
※自分の信用情報は、各信用情報機関に照会すれば、開示が可能です。

■「ブラックリスト」入りのデメリットは事実上”なし”

信用情報は新たに融資やカード発行、ローン契約を申込し、審査する際に照会されるため、融資等の可否において重要な要素とされます。

当然、滞納歴・異動歴があれば、通常は審査が下りません。

したがって原則として一定期間完済から5年・破産から7年)、新たなクレジットカードの作成や、借入・ローンはできない、ということになります。
(ただし家賃保証、スマホ契約等、生活に必要なものは審査が通る場合もあります)

「やっぱりブラックリスト入りは怖い」

と思われたかもしれませんが、恐れる必要はありません。
債務整理をすれば、少しずつでも貯金ができる家計サイクルとなるわけですから、必要なものはお金を貯めて一括で買えば良いのです。

むしろそれがお金の使い方の大・大・大・大原則のはず。

車、持ち家、本当にローンを組んでまで買う必要ありますか?

人間の脳というのは、借りれないなら借りれないで、別の方法を見つけようとするもの。

この5~7年は、そのトレーニングをするために与えられたチャンス、捉えることもできます。

こういうふうにポジティヴにとらえると、実は「債務整理にデメリットなんてない」と考えることもできます。

しかしポジティヴな思考も、目の前の生活が成り立ってことできるもの。

まずは生活再建を最優先に。

自己破産予定者がやってはいけないことトップ3

■急増?自己破産

コロナの影響でしょうか?
債務整理、特に自己破産の相談が増えてきているように思います。
先日も、裁判所に破産申立書類を提出してきたのですが、その時、たまたま知り合いの先輩司法書士とばったり会いまして、ちょっとした雑談をしたのですが、その時に、「最近破産の案件増えていますよね」「先輩の事務所もですか」などという話も出ました。
もしかしたら、このページをご覧の方の中にも、現在借金を計画通り返せない、自己破産も視野に考えている、という方がいらっしゃるかもしれません。

破産というのはごく簡単に言うと、今ある借金を全部チャラにしてもらう手続です。
このチャラにしてもらうことを、責任を免れると書いて「免責」といいます。
決して違法なことではありません。
ちゃんと国が認めた手続です。ご安心ください。

ただし、破産を考えているのであれば、これはやってはいけませんよ、ということのが実は法律上色々とあるんです。
難しい言葉で言うと、免責不許可事由といいます。
これに該当する行為をした人は、免責を許可しないことがありますよ、ということです。
そこでこのページでは、私が債務整理の現場にいる司法書士として、よく見かける「やってはいけないこと」を解説します。
自己破産を考えている方はぜひご覧ください。

■第3位 車や不動産の名義変更

自己破産を考えている方がやってはいけないことトップ3・第3位は、

「車や不動産の名義変更」です。

先ほど私は、破産というのは借金をチャラにする手続だと説明しました。
ですが、1つ補足させてください。

それはチャラにする前の段階で、「車や不動産のように一定以上の価値ある財産がある場合は、換価して債権者に分配する」という手続があるのが原則となります。
財産がある場合ですよ。なければ何も換価されずに免責に進みます。このことを同時廃止と言います。
(実務的には破産申立の7割程度が同時廃止となります)
ですがある程度大きながある場合には換価される可能性があります。

もちろん財産があるからといって全てが換価の対象となるわけではありません。
車に関しては年式が古いもので、査定額が低いようなものであれば、換価されないこともあります。
ただし不動産はほぼ間違いなく換価の対象になると思った方がいいでしょうね。

破産の相談に来られた方で、たまに見かけるのが、車や不動産を換価されたくない、取られたくない、じゃあ私の名義でなければ取られないんでしょ?

ということで、返済が相当苦しかったであろう時期や、相談の直前に親族や友達に名義変更してしまっているケース、というのがあるんです。

これはアウトです(破産法252Ⅰ①)。

いわゆる財産隠しや財産の不利益処分に当たり、債権者を害する行為と考えられるからです。
自分の名義でなければ取られないなんてそんな甘いものじゃないんですよ。

ただこれについては、そういうことをやってしまった依頼者が一方的にけしからん、というつもりもないんです。
というのは、過去にそれをやらかしてしまっている依頼者が何人かいらっしゃったんですが、経緯をよく聞くと、どうも誰かに「悪知恵をつけられやってしまった」というケースが大半なんです。
例えば友達から紹介された「法律に詳しい人」(もちろん弁護士や司法書士ではない人)とか、不動産業者に言われてやっていた人もいました。
どうも聞いていると本人はそれが悪いことだという認識もなく、アドバイスしてくれた人の言われるがままにやってしまったという印象です。

はっきり言います。
破産に関しては特にそうですが、弁護士や司法書士が言っていること以外、信用しないでください
ネットに書いていることや、コンサルタントを名乗る人の言ってることを鵜呑みにしている方をよく見かけるんですが、かなり確率でデタラメな情報が混じっています。
そうした無資格者の口車に乗ってしまうと、のちのち手続の難易度が上がってしまうケースが非常に多いんです。

なお補足としては、マイホームを残して債務整理をしたい場合、任意整理個人再生という方法があります。

■第2位 これ以上お金を借りる

自己破産を考えている方がやってはいけないことトップ3・第3位は、

「これ以上お金を借りること」です。

これは単純です。
今の状態で、これ以上お金を借りても、約束通り返せないだろうな、と自分でもわかっている状態でさらにお金を借りる。
これ、詐欺なんですよ。

だってそうでしょ?
返せないとわかってるんですよ?
なのに「ちゃんと返します」と言って借りるんですよ。
これ騙してるじゃないですか?
貸した側からすると、ですよ。(破産法252Ⅰ⑤)

これも私の過去の依頼者の傾向からすると、特に気を付けていただきたいのは、親族や友達にお金を借りなければならなくなった時です。
というのは、個人からお金を借りる状況って、たいがいは消費者金融の借入枠がいっぱいになってもうこれ以上借りられなくなり、仕方なく親族や友達に泣きついて借りる、というパターンが多いんです。
その状態になったらもう返すのは無理と思った方がいいです。
これ以上、頑張るべきではありません。

しかも親族や友達などの個人からの借入は、法律的なものだけでなく、感情的なトラブルになりやすいです。
「あなたの人間性を信用して貸したのに、裏切られた!」

というものですね。信じたのに裏切られた。これは感情を刺激しやすいです。
その点、消費者金融はプロの金貸しですから、淡々としています。
当然、一定の確率で返済が滞ったり、破産申立される人が出ることを計算に入れて融資の審査や利率設定をしてますからね。
なので、破産を申し立てると、債権者から異議申立というのが制度としてあるのですが、消費者金融からはまず出されません。
ですが、個人だと感情的になって、半分嫌がらせ的に異議を出されるケースもたまにあります。
親族・友人からは借りてはいけない
これは第1位でも大事になって参ります。

■第1位…の前に、クイズ

自己破産を考えている方がやってはいけないことトップ3・第1位は
・・・これは発表の前にクイズを出しましょう。

Q あなたは消費者金融A社に90万円、友達Bさんに10万円の借金があり、手元に返済に回せるお金が10万円しかありません。
(AB共に優先弁済権はないものとします)
誰に対していくら返済しますか?

ここで友達Bに10万円と答えたあなた、不正解です。
「何でだよ?!友達は大事なんだからいいだろう?ちょうど返せる額と借金も同じだし」
ダメなんです。
なぜなら免責不許可事由である、偏頗弁済(へんぱべんさい)に当たるからです。

ということで第1位は、偏頗弁済です。
いきなり聞き慣れない言葉を言われてピンと来ないと思いますが、ちゃんと解説しますので、ご安心ください。

まず先ほどのクイズの答えを言いましょう。
A社に9万円、Bさんに1万円返すのが正解です。
なぜか? 債権者平等原則というのがあるからです。

「え?債権者平等?ならABそれぞれ5万円が正しいんじゃないの?」
と思ったあなた。
ここでいう「平等」というのは、債権額に応じた平等です。
つまりA社に90万円、Bさんに10万円の借金があり、返済に回せるお金が10万円なのですから、A社に9万、Bさんに1万返すのが平等、と考えるわけです。
そしてこの債権者平等原則に反して、特定の債権者にえこひいきした返済をしてしまうこと、これが偏頗弁済なんです。

これも過去に受けた案件の中には、元交際相手から別れる時に返すように強く迫られて仕方なく返してしまったとか、友達関係を壊したくなくて、偏頗弁済をしてしまったケースがありました。
お気持ちはよくわかるんです。ですが、ダメなものはダメです。

■とにかく早く相談を

ということで「自己破産を考えている方がやってはいけないことトップ3」を見ていただきました。
色々厳しいことを言ってきましたが、誤解しないでください。
この中の1つでもやってしまったら、即免責ができない、というわけではありません
というのは、最終的には免責を許可するかどうかは、裁判官の裁量とされているからです(破産法252条2項)。

もっと言ってしまうと、私の経験上、だいたい破産される皆さん、免責不許可事由にあたることを何かしらやらかしてます。
これはある程度しようがないです。
皆さん法律の専門家ではないですから、破産法なんて知らない。
またお金のことで悩んでいる時の人間の判断力は、徹夜明けの8割程度にまで下がっているというデータもあるそうです。

そんな知識も判断力もない状態でやってしまったことを責めても始まりません。
なのでよっぽどのことがない限り、自己破産すれば免責は許可されると思ってください。
もちろん程度や頻度によっては、裁判所が破産管財人を選んで調査する手続を踏むことがあります。
(破産管財人=裁判所に選ばれた弁護士で、債権者の立場に立って破産者の財産・債務形成の過程等を調査する人)

この場合、時間もお金※も余計にかかりますが、それでも最終的には免責になることがほとんどです。
※同時廃止だと3カ月程度・予納金1万2000円程度で終わる手続が、破産管財人が就いた場合、6カ月程度・予納気20万円に必要(札幌地裁の場合)になる。
とにかく借金のことで悩んでいる、返済が苦しいと感じたら、なるべく早く弁護士・司法書士のところに駆け込んでください。
早ければ早いほどいいんです。

そして1点お約束をしてください。
それは相談した弁護士や司法書士には、全て正直に話すということです。
稀になんですが、色々な事実を隠したり、嘘をついて相談する方がいます。
後ろめたい気持ちはわかります。
が、なにぶんこうしたことは、信頼関係に基づいて受けるものです。
正直にお話しいただけない方は、こちらも心苦しいですが、依頼を断ったり、依頼途中であっても辞任といって、こちらから業務を終了させることがあります。

昔の借金110番:忘れていた借金の督促が今頃になって…

■サラ金は忘れた頃にやって来る

最近よくいただくご相談に、次のようなものがあります。

5年以上も前に貸金業者からお金を借りましたが、その後督促がなく、自分でもすっかり忘れていました。
ところが最近になり、その貸金業者(またはその業者から債権を譲り受けた会社)から督促状が届きました。
どうしたらいいのでしょう?」

貸金業者が「昔の借金」を掘り起こして督促するケースが最近頻発しているようです。
これ自体は直ちに違法な行為と言えませんが、貸金業規制法の改正やいわゆる「過払い」で、すっかり売上が上がらなくなった貸金業者の苦し紛れの策のように見受けられる、というのが個人的な感想です。
このような場合、どのように対処したらいいのでしょうか?

■「あわてて電話」「放置」はNG!

まず絶対にやってはいけないことを2つ言います。

1.督促状に書かれた番号に自分で電話してしまうこと
これは「消滅時効の援用」ができなくなるおそれがあるからです
貸金業者の債権は、最後の返済から原則5年で消滅時効が完成します。
しかし「5年経ったから自動的に債務が消滅する」というものではなく、「もうこれは時効ですので、援用します」という意思表示を相手にして、初めて債務がなくなるのです。

ところがその一方で、このような判例もあります。

時効が完成したことに気づかなかったとしても、「確かに借りましたが…」「分割で返します」など、債務があることを前提とした言動をした場合、後から「やっぱりこれは時効だ」と援用することは認められない(最大判昭41.4.20。一般の方向けに言い換え)

つまりあわてて自分で電話をし、うっかり上記のような発言をしてしまうと、もう時効援用はできない、ということになります(相手もプロですから、録音されている可能性もあります)。
「言質(げんち)を取られる」とはまさにこのこと。
なのでこのように時効が完成している可能性がある場合、「電話は一切せず、内容証明郵便で淡々と時効援用を通知する」のが正しい対応なのです。

※ただし時効になってるにもかかわらず、いきなり家に押しかけ「1000円だけでも払ってもらえば今日は帰ります」等で時効の利益放棄を誘導するような悪質な方法だと、時効を認める判例もあります(大阪高裁平成27年3月6日判決)。

2.放置すること
これもお勧めしません。
上でも述べたように、時効援用の通知が相手に届いて初めて債務が消えるからです。
債務が消えていない以上、相手が訴訟を起こすおそれは否定できません。

■時効援用ができないケースも…

では5年以上経っていれば、どんな場合でも消滅時効が完成しているのでしょうか?
残念ながらできないケースもあります。
例えば次のような場合です。

1.裁判等を起こされている
裁判や裁判上の和解、支払督促※を起こして勝った場合、債権者は「債務名義」※と呼ばれるものを得ます。
これを得ると、時効はそこから10年延長されてしまいます。
特に支払督促は注意が必要です。
簡易裁判所から圧着はがきで届くため、ダイレクトメールなどと間違えて捨ててしまい、債務名義を取られている認識すらないこともあるようです。

※支払督促=簡易裁判所の手続による一方的で非常に簡単な裁判のようなものとお考えください
※債務名義=公的に勝った証拠、くらいにお考えください

2.最後の返済から現在までの間に、「債務承認書」や「分割弁済和解書」などに署名した
これらの行為(債務の承認)を行うと、時効完成のためにはそこからさらに5年の経過が必要になります(時効の更新)。

■「昔の借金」でお困りの場合は、当事務所へ

このように「昔の借金」問題は、思ったより複雑な問題が絡み合います。
督促状が届いたらすぐに当事務所にご相談ください。

費用の目安(税抜)
任意整理(時効援用含む)
報酬 2万0000円~
内容証明郵便 1510円~

借金の整理・過払い金返還請求について

・返済が苦しくなってしまった方のため、任意整理、個人再生、自己破産など、メリット、デメリットを説明した上で、適切な解決方法をご提案します
・「家や車は手離さなければならないの?」「ブラックリストに載ってしまったら携帯やアパートの契約はできなくなるの?」「会社や家族にバレずに自己破産はできる?」「だいぶ前から返済し続けているが、これは過払い金が発生しているのでは?」
などの疑問にもお答えします

任意整理、自己破産、個人再生それぞれのメリット、デメリット

任意整理、自己破産、個人再生の概要、メリット・デメリット

債務整理には、大きく分けて次の3つがあります。
ごく簡単に説明すると、次の通りです。

1.任意整理

 借金を分割で返済する。基本3年、長くて5年。
 メリット:借金をした理由を問わず使える
 デメリット:原則として、元本相当額以上は返済しなければならない。

2.自己破産

 i)一定の財産は換価し、債権者に分配する
 ii)その上で分配できなかった金額について免責
 ※ただし7割程度のケースで、iの手続をしないことがあります(同時廃止)。
 メリット:債務が免責される
 デメリット:不動産などがあれば手放さなければならない。一定の職業は、破産開始~免責確定まで(2か月~数か月)辞めるか、勤務先に部署の異動などを配慮してもらわなければならない
       制限される職業の例 保険外交員、宅地建物取引士
       会社の役員の場合、一度は退任しますが、株主総会での再任は可能です。

3.個人再生

 裁判所の認可により、債務を大幅にカットし、3年で返済。
 例)約500万円→約100万円
 メリット:債務が縮減される。不動産などは手離さなくてよい。
 デメリット:費用が高い。比較的安定した収入でないと裁判所の認可は下りない。

3つの方法のどれが最適か?

これら3つの方法のうち、どれが最適かは、相談者のお話をよく聞かせていただいた上で、次のような項目を総合的に踏まえて判断します。
その他、個別の事情があると思いますので、面談時に遠慮なくお聞きください。

・本人の収入で、3~5年の分割返済が可能か
・借金をした理由(ギャンブルなど破産免責不許可事由が含まれているか)
・不動産などを、大きな資産を手放したくないか
・個人事業主の場合、什器備品・在庫品などの換価価値がどれくらいか
・生活保護を受けているか
・破産で制限された職業に就いているかどうか

共通すること

いずれの方法を取った場合でも、共通することがあります。

1.債務整理は家計簿に始まり、家計簿に終わる

 家計簿は必ずつけてください。
 自分の収入、支出を把握することで、お金の使い方や、なぜ借金をすることになったのか、考えるきっかけになります。

2.信用情報機関に登録される

 俗に「ブラックリスト」と呼ばれるものです。
 これにより、任意整理の場合は完済から(返済開始からではありません)5年間、破産・再生の場合は5~10年間、登録されます。
 
 信用情報機関の代表例
 株式会社日本信用情報機構(JICC)
 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

3.原則として、家族・友人・職場に秘密でできる

 ただし以下のような場合などには、秘密で進めることが困難な場合があります
 ケースバイケースですので、面談の際にお聞きください。
 ・債権者やその保証人の中に、家族・友人・職場が含まれるような場合
 ・ご家族と同居で、債権者が訴訟を起こしてきた場合(訴状等が届きます)

当事務所に依頼するメリット

1.受任により、貸金業者からの請求が止まる

 貸金業者は、弁護士・司法書士からの代理受任通知があったら、請求・督促を止めなければなりません。
 ただし個人からの借入の場合には、本人に直接請求が行く場合があります。

2.より有利な条件で和解できる確率が高い

 理屈の上では、本人交渉での和解は禁止されていませんが、お勧めしません。
 あくまでも一般論ですが、貸金業者は本人が和解交渉してきた場合、「経過・将来利息をつけろ」「返済月額をもっと高くしろ」など、強気に出てきます。
 和解しても、途中から返済できなくなるような案では意味がありません。
 当事務所では、できる限り、「元本での和解」「本人に無理のない返済月額・返済期間」を目指して交渉します。
 ただし相手のあることのため、全てのケースについて、無利息、希望通りの和解成立をお約束するものでないことをあらかじめご了承ください。

3.知識と経験に基づき、適法に、全体のバランスを考えた和解

 例えば手元に10万円あり、A社に90万円、友人Bに10万円の債務があるとします。
 どちらも無担保として、この場合、どのように返済すべきでしょうか?
 答えはA社に9万円、友人Bに1万円です。
 ところが一般の方は、「Bだけでも完済しよう」とか「友達だから」という理由で、全額Bに返すようなことをしてしまう方がいます。
 これは偏波弁済(へんぱべんさい)といって、やってはいけないことです。
 後にやっぱり破産、となった際に、この件が問題になることがあります。
 当事務所ではこのようなことのないよう、適法な和解を心がけています。

費用について(税別)

■任意整理
報酬1件2万円
1契約につき(債務総額ではありません)、元本が140万円以下のものに限ります。

■自己破産
書類作成報酬 20万円
個人事業主の場合 +5万円
予納金(同時廃止) 約1万5000円
予納金(管財)   約20万円

■個人再生
書類作成報酬 30万円
予納金    約30万円

当事務所は、法テラスによる法律扶助に対応しています。
その場合は、法テラス基準の報酬となります。

  • 相談予約について

    ご相談は出張・訪問にて承ります。初回のご相談は、1時間を目安に無料です。また出張費につきましても、下記の地域については無料です。

    札幌市、北広島市、江別市、恵庭市、千歳市

    相談予約受付ダイアル
    011-555-7717
    受付時間
    月~金:9:30~17:30
     土 :9:30~12:00
    事前予約いただければ、時間外・休日も対応致します。
  • Facebookページ

  • Twitter

  • QRコード

    QRコード