Q 自己破産すると離婚の慰謝料は免責になるのですか?
■基本的に免責になります
離婚の慰謝料というと真っ先に思い浮かぶのは、いわゆる不倫(法律的には「不貞行為」と言います)が原因で離婚に至ったことへの慰謝料です。
この点、法律や判例は考え方では、積極的に相手を傷つけてやろう、というレベルの悪意を持って行った行為でなければ免責する、とされています(破産法253条1項2号、東京地裁平成15年7月31日)。
不倫された側からすると納得いかないとは思いますが、一応こういう風になっています。
■DVでの身体への損害賠償義務は非免責
一方、不倫のように心ではなく、DVのように体に傷を負わせるような行為への損害賠償義務。
これは免責の対象になりません(破産法253条1項3号)。
大まかにはこのようになっているのですが、あくまでもケースバイケースの判断です。
もし元夫・元妻が破産して未払の慰謝料を免責したいと言っているのが納得行かない場合には、裁判所に異議申立をすることも可能です(破産法251条。免責についての意見申述)。
■養育費は非免責
しばしば混同されますが、慰謝料と養育費は違います。
慰謝料は元夫・元妻に離婚したことによる心の傷を補うため払うもの。
養育費は子どものために払うものです(支払先が元夫・元妻になっていても)。
親に対する未成年の養育費請求権は、子の福祉のため非常に強く保護されています。
したがって破産しても養育費は免責されません。