Q 自己破産すると車が取られてしまうのですか?
■自動車ローン残債の有無や査定額により異なります
結論としては「ケースバイケース」という言い方になります。
ポイントは次の2点です。
1.自動車ローン残債の有無
2.査定額が20万円以上かどうか
ローンが残っている車と、残っていない車に分けて説明します。
① ローンが残っている車の場合
ローンを返し終わるまで、車の所有権はローン会社にあります(所有権留保)。
したがって破産状態になった時点で、車はローン会社が引き上げ、換価されるのが原則です。
② ローンが残っていない車の場合
買取査定額が20万円以上※の車の場合、破産管財人による換価の対象となります。
※札幌地裁の場合
換価によって得た売却代金は、債権者に分配されます。
したがって結論としては、ローンが残っておらず、査定額が20万円未満の車は、ローン会社の引き上げもなく、破産管財人による換価もない、つまり手放さなくて良いということになります。
■生活や仕事に車が必要な場合は?
では生活や仕事のためにどうしても車が必要な場合は、どうしたらいいのでしょうか?
これについては、「自由財産拡張」を申し立てることによって、裁判所に申立てて換価を免れるケースもあるようです。
ただし裁判所にその必要性が認められるハードルはだいぶ高いようです。
■家族・知人名義にして換価を逃れるのは×
「破産はしたいけど、車がなくなるのは困る。そうだ、家族や知人に名義にしてしまえば換価を免れるのではないか?」
そう思った方もいるかもしれません。
ですが、これはやってはいけないことです。
なぜなら「債権者を害する行為」(詐害行為)となってしまうからです。
例えばこの車を100万円で売ったとするなら、その100万円を債権者への配当に回すべきです。
またタダであげてしまったとするなら、本来換価できるものを手放して、債権者に損害を与えたことになってしまうからです。
私が過去に受けた依頼者の中にも、誤った法律知識を持った無資格コンサルタントの口車に乗って、車を名義変更してしまった方がいらっしゃいました。
その案件は、破産者自身も無資格者に騙されたような側面があったため、裁判官の裁量で免責となりました。
しかし破産管財人を就けるため、予納金が余計に20万円かかり、手続も1年以上延長になりました。