会社の名前を変更するには?
■意外と大変?!商号変更
2022年4月1日、パナソニック株式会社が「パナソニックホールディングス株式会社」に社名を変更しました。
一般の中小企業でも、イメージチェンジ、事業内容の変更に伴う社名変更はたびたびあることですが、この手続、どのような手順を踏むのでしょうか?
1.会社の名前(商号)は定款の記載事項
まず会社には必ず、定款というものがあります。
会社を国にたとえると、定款は憲法のようなものなのですが、実は社名というのはこの定款で定めなければならないことになっています(会社法第27条第2号)。
つまり、社名を変えるということは、定款のこの部分を変更する手続、ということになります。
なお時々この定款を失くしている会社を見かけます。
その場合は、状況に応じて個別に対応しますので、当事務所にご相談ください。
2.定款変更には株主総会の特別決議
そして定款変更には、次の要件を満たす株主総会決議を行います※1(会社法第466条・第309条第2項第11号)。
(1)株主総会で議決権を行使することができる株主の議決権の過半数※2を有する株主が出席
(2)出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成
※1 これを特別決議といいます
※2 定款の定めにより3分の1まで軽減することができます
議決権のある株式を持っているのが少人数の会社ではそこまで大変な手続ではありません。
特にほとんどの中小企業では、社長が株式の3分の2~全部を持っているでしょうから、問題なく決議されると思います。
ですが多くの人が分散して持っている会社では、それなりに根回ししないと大変ということになります。
3.商号変更登記
法務局に商号変更した旨を登記申請します。
4.各種届出
登記が完了しましたら、商号が変わった旨の届出が必要です。
意外と多いですね。
どんな会社も最低限必要なのは次の届出です。
(1)税務署
(2)都道府県税事務所
(3)市役所の税務課(札幌市の場合は市税事務所)
(4)年金事務所
(1)~(3)は税金、(4)は社会保険のため
従業員を雇用している場合は、下記に労災保険のため変更届が必要です。
(5)労働基準監督署
会社名義の預金口座の名義人変更のため、次の窓口での変更も必要です。
(6)各金融機関
さらにはケースバイケースで、次の機関に変更手続が必要となります。
(7)取引先や会社としてサービスを利用している場合、各取引先・サービス利用先
(8)許認可を得ている場合は、各許可庁
(9)会社名義で不動産を所有の場合、各不動産の登記の管轄の法務局
(10)会社名義で車を所有の場合、運輸局や軽自動車協会